本を読まない子は ろくな大人にならんけんね

↑by宮部先生

10月27日から2週間、読書週間に入るらしいです(暇つぶしに国語辞典を繰っていたら偶然知りました)。そういえば昨日今日の新聞は読書についての記事がやたら多かったな・・・。
ということで、このブログも読書週間モードに入ります。とはいっても変わるところはなし。
読書週間モードで、やることといえば本の紹介くらいしか思いつきませんでした。
ここはやっぱ幕末ものでいきましょうか。




e0002518_0101836.jpg世に棲む日日(全四巻)

  
  おもしろき こともなき世を おもしろく




物語の序盤の主人公は、聡明にして純真、多くの志士を門人にもった思想の人・吉田松陰。そして中盤から終盤にかけての主人公はその門人、「動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し」と謳われた革命児・高杉晋作。この師弟の、そして長州の「狂」は、時代にどう絡むのか。
松陰の人の好さは呆れるほど(そしてその短い生涯を童貞で終えたという)。だからこそ、憎めない人物であったのでしょう。そして数多い門人の中で松陰の遺志を継ぎ、彼が予想もしなかったような鬼神のごとき働きをやってのけたのが、高杉晋作。
「動けば雷電の如く…」とはよく言ったもので、高杉の破天荒な、しかし颯爽とした言動や行動は実にスカッとします。三味線を弾いて芸者遊びなんかをしながら、時勢を見極め、思い切った行動で周りを驚かせ、時にはスパッと意見を切り替え、そしてクーデターを成功させてしまう。彼は実によく動きます。
上に挙げた句は高杉の有名な辞世の句。幕府に「桂に並ぶ危険人物」とされる一方で、詩人でもあった彼の飄々とした性格が句からにじみ出るよう。
物語としてももちろん楽しめますが、長州や幕府の政治的情勢、攘夷派・倒幕派の思想や行動、幕末という時代の流れを知る上でも大いに役に立つと思います。特に長州が単なる攘夷から倒幕に至るまでの経緯。読んで「なるほど」と納得できるかも?


e0002518_1550344.jpg燃えよ剣 (上・下巻)

  
  剣に生きる者は、ついには剣で死ぬ
  



これね・・・・今まで幾度となく口にしてきたタイトルです。前に紹介した事もあるんですが、私が土方歳三にいかに惚れているかを書いただけみたいになってしまっているので(いやホントマジで格好いいですよ、読んだら惚れますよ絶対)、改めてご紹介。
主人公は土方歳三。田舎の百姓剣客だった彼が新選組副長となり、函館五稜郭戦争で散華するまでを描いた作品。青春もの・・・という言葉があてはまるんですかね。読後感は、悲しげながらもとても爽やか。
「鬼の副長」と京の攘夷志士はおろか新選組隊士からも恐れられた一方、近藤と談笑したり沖田にからかわれたり、作中の人物お雪と恋をしたり、多面性のある人間として描かれています。
「剣」というものは土方の生きがいであり、仲間との絆であり、そのために生きのびた場面もあったのですが、結局は彼を死地へと誘っていきます。戊辰の戦場での彼の戦いぶりはすさまじく、全身に返り血を浴び、馬上から片手斬りで敵をなぎ倒しながら進んで行く姿にはは息を呑むような思いがします。
戦という大喧嘩の中にしか死に場所を見出せなかった喧嘩の天才・土方歳三。彼の最期は有名ですよね。知らないのなら、読んでで確かめてください。死ぬ間際まで、見事なまでに格好のいい男でした。高杉晋作が天下の粋人なら、土方歳三は天下の洒落者ですね。
「世に棲む日日」に比べて、政治についての描写が少ないのでこちらの方がスラスラ読めると思います。

新選組血風録
これは短編集。「新選組外伝」といえばいいんでしょうか。一編ごとに一人の人物をとりあげ、ある事件や出来事での動きが描かれています。それも、新選組の有名な幹部ばかりでなく、一般には無名の隊士たちが多数。日常的な描写が多く、隊士それぞれの個性が際だち、おかしみを感じさせてくれます。
例えば「前髪の惣三郎」、隊内でのおかま騒動(?)を扱った作品で、その気のある隊士・加納惣三郎に好かれてしまった監察・山崎の困惑ぶりが笑える。「沖田総司の恋」では沖田が医者の娘に淡い恋をするのですが、それに対する近藤と土方のおせっかい具合がまた笑える(そっとしといてやれよ!な・・・)。燃えよ剣とあわせてどうぞ。


e0002518_15524683.jpg壬生義士伝(上・下巻)


  義士之血脈 何日カ巌ヲ摧キテ万朶之開花致候御事ヲ





これも新選組ものです。新選組諸士調役兼監察・吉村貫一郎という、研究者かマニアでなければわからないような隊士が主人公。幕末の動乱期から約半世紀のちの大正時代、かつての新選組隊士や知人が吉村なる人物についてを語っていき、物語は進みます。(基本的に一人称の語りなので、感情豊か。感情移入したいなら司馬作品よりこちらの方をおすすめします)
吉村貫一郎は、妻子に送る金を稼ぐために新選組に入隊。穏やかな人柄ながら剣の腕はすさまじく、「人斬り貫一」やら「鬼貫」と称されるほど。隊士たちからは「守銭奴」とののしられますが、一方ではとても尊敬されるような人物。
吉村貫一郎という、たった一人の人間が問いかけてくる問題のこのスケールはなんだろう。
「義」とは、人としての正しい道のこと。周囲とは微妙に違った武士道を持ち、自らの信じる義を貫き通す姿には、不器用ながらも美しさを感じます。泣き場も随所に仕掛けられていて、本で泣いた事などない私も思わず目頭を熱くしました(結局泣かなかった。第一の感想が「土方さんがめちゃくちゃ格好良かった」だし)。
本文の最後に作中のある人物が書いた手紙があるのですが、それをぜひ読んでいただきたい。ほとんど漢字なので目が痛くなる人もいるかもしれませんが、面倒臭がらず読んでください。読み進めていくうちに、頭の中に吉村貫一郎の故郷・盛岡の美しい景色が広がっていくはずです。

そして最後の一文を読み終えたとき、大きくふくらんだ感動が早朝の空気のように清々しく冴えて、深いため息が出るんです。



※とりあえず今回はこれで終わり※
今まで3作品紹介してきたんですが、こうして見ると司馬遼太郎ばっかですね。そしてほとんど新選組ですね。全部で3つだけだけど。浅田次郎の他作品では「輪違屋糸里」(これも新選組もの)も読んだんですが、あれは私にはちょっと色っぽ過ぎました。
登場人物たちの、司馬版と浅田版でのキャラの違いを見るのも結構面白いです。例えば司馬版沖田が心の隅まで陽が差しているような清らか(少々無理があるかも)な青年なのに対し、浅田版の沖田総司はかなり腹黒い。陽気に笑いながら「あいつ斬っちゃおうか」ですよ。
幕末の風雲児といえば高杉晋作、土方歳三、そして坂本龍馬というようなことを誰かが書いていたんですが、私はまだ坂本龍馬ものを読んだことがありません。なんとなく気持ちが焦る・・・・。

新選組ものばかりなのは私が政治より斬り合いやらなんやらが好きということでですね、偏食家ならぬ偏書家なんですよ。前にも書いた事ですが、同じ作家・同じジャンルのものばかり読んでるもんで、読書の輪が広がらないんです。「他人の考えに触れる」ことを楽しみとして読書しているんだから、この偏書癖は直さなきゃなあ。その割には本棚の中がギチギチで教科書を追い出して片付けようとしていますがぜんぜん片付かず溢れています。(ちなみに机の上にはジャンプ40冊強が山と積まれている)


そういえば、本を溜め込みすぎて家の2階が抜けたとかいう事件があったらしい。うちはまだ大丈夫だよね、その事件では2トンぐらい溜めてたらしいし・・・・・・・・・。
[PR]

by shougetu16 | 2005-10-28 00:36 | 私的瑣談(雑記)

<< 第九十二訓  傘の置き忘れに注意 第九十一訓  満月は人を狂わせる >>