最高に最強に格好いい男の死

新年あけましておめでとうございます。2006年最初の記事が「私事なつまらない話」で申し訳ないですが、これは書かずにいられません。
正月時代劇「新選組!!土方歳三最期の一日」を観て、
大変に感動いたしました。
番組が終わって一時間経っても、涙が止まりませんでした。
ドラマで泣いたのは、初めての事でした。





戒名 歳進院殿誠山義大居士
俗名 土方歳三義豊


私は人に比べてかなり無感動な方である。
というか、涙腺が馬鹿に固い。
ドラマどころか、映画でも本でも殆ど泣かない。
それなのに何故、こんなにも涙が出たのか、考えてみた。
多分、土方が生きようとしたからだと思う。

大抵の作品では、土方歳三は死を望んで戦場に赴いて行く。戦で死にたい。この函館の地以外に武士らしく死ぬ場所は無い、と。
このドラマでも、最初のうちはそう考えている様だった。しかし。

蝦夷の地に新しい国を創ろうと思ったと語る榎本武揚。
まだ戦えると嘆願する兵達の傍らうなだれる大鳥圭介。
彼らの瞳は、まだ死んでいなかった。生きていた。
わずかな望みに燃えていたからこそ残念がり、悔しがっている。
土方は、その中に希望を見つけた。諦めない事なのだ。
振りかざされる白刃、生命の炎。とても強い力が感じられた。
しかし希望を見つけた途端、彼は死んでしまう。
それが、あまりにも切なかった。

しかし、彼は無念のままに死んでいった訳ではなかった。
ささやかな、しかしとても大きな意味を持つ救いがあった。
それは・・・・


・・・


・・・いやぁ良かった・・・・本当にに良かった。
主役の土方は勿論、榎本、大鳥、永井などの人物も大変魅力的。特に大鳥、序盤のダメっぷりから一転して「勝ちたい」と一人呟くところで彼の見方が大きく変わりました。素敵です。どうしようもないくらいロマンチな榎本、降服のためにさらりと背を見せる永井…格好良かったよ。
そして、忘れてはならないのが市村鉄之助。彼がいたから、今のこのドラマがある訳ですよね。多摩に向けて草原を走り去る小さな背中に、大きなスケールを感じました。女性が殆ど登場しませんでしたが、ここには女性の柔らかい影は必要無いですよね。これは男のドラマなのだから。

長いセリフの応酬にも置いていかれる事無く、むしろ一言一句聞き逃すまいと前屈みになり画面に見入ってしまいました。三谷幸喜の力量を感じます。


以下、特にキた場面
●この世で一番強い生き物…「ぬえ」
大河組にとっては懐かしくて仕様が無い回想シーンなんでしょうが私は総集編組なので…(ちょっと後悔)。山南の言う通り、鵺は想像の産物、妖怪です。「鵺」は頭は猿、胴は狸、足は虎、尾は蛇という奇怪な姿をしているという、正体不明の存在の事。ニヤニヤしているばかりで何を考えているかわからない人の事を「鵺的人物」とか言ったりしますね。鵺は人間に退治される妖怪です。人間には正体不明のものでも打ち破る力がある。そこに、薩長軍という「鵺」退治に希望を見出せるんですね。成功はしなかったけれども…。

●予想外の函館山襲撃…「土方はどこにいる!!」
珍しく声を荒げる榎本、騎馬姿の土方。物凄いドキドキしました。

●絶える寸前に燃え盛る命の炎…「新選組副長、土方歳三」
『燃えよ剣』でもゾクリとしたこのシーン、このセリフ。「函館陸軍奉行並」、とは言いません。彼の身分素性といえばこれ以外に無いですものね。腹部に銃弾を受け、息も絶え絶えな気迫の殺陣は恐ろしい程の凄味。出血の量がもっと多ければかなりの鳥肌ものだった思うけど、それじゃぁ辛くて見てられなかったかも。

●最期の瞬間に見たもの…「かっちゃん・・・」
やられたああああああああああ(涙涙涙涙涙涙涙涙)。
一年前、死を目前にした近藤が最後に呟いたのは、友の名でした。そして今、同じく死を目前にしてその呼びかけに応えた土方。眉間に皺を寄せ険しいまま固まっていた表情を、ニッコリとほころばせて・・・・・ああ(涙涙涙涙涙)。
試衛館道場の回想で近藤がまったく顔を出さなかったのは、これの為だったのだ!処刑寸前の映像を使っていましたが、あれはきっとただの使い回しではない。使うべくして使われたという感じがする。誰も見た筈の無い死の直前の近藤の顔が、あの瞬間土方には見えた。二人はあの「死の瞬間」でリンクしたんですよ。時空も次元も何もかも超えた二人だけの世界ですよ。もしかしたら、近藤にもニッコリと笑む「トシ」が見えていたのかもしれない。そういう風に想像を膨らませてくれた。たとえ使い回映像しでも!
このシーンは2004年の大河を観ていないと、本当の感動が味わえないでしょう。このシーンのためだけの総集編アンコールだったのかとさえ思ってしまいました。

●島田魁の悲痛な叫び…「土方さんが死ぬわけない!!」
やめろー!!やめてくれ!!それ以上は・・・(涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
土方という希望を失い、号泣しながらジオラマを破壊する大鳥の姿に更に涙。


・・・こうして一時間も涙が止まらなかったのですが、
しかし心持ちはとても爽やかなのです。
市村鉄之助の頭上に広がった、あの浅黄色の空・・・・


(ここから先は気分ブチ壊しな話題なので読まない方が良いかも)


※個人的には甲鉄艦(ストーンウォール)奪取作戦とかが観たかったのですが、一時間半では無理か。五稜郭では土方さんのみが常勝将軍だったんだからその辺の活躍も見たかった。短いよなぁ。なんでもっと時間使ってくれなかったのかなぁ、NHKって意地悪。(NHKの都合・事情はまったく無視してのの発言ですのでお気にめされず)

※今回最大の不満は「何故八犬伝と同じ時間に始まるんだ!」という事。八犬伝も観たかったけど断然こっちの方が観たかった。「新選組にはあまり興味が無い」という母と妹に、私が世界で一番好きな、この最高に最強に格好良い男の最期を観てもらおうと思い説得したのですが、結局二人とも八犬伝。あんなに力説したのに何故!?理由は簡単、彼女らはタッキーが好きだったのだ!

※母と妹に多数決で敗れ、二階の寒い部屋の画面の小さいテレビで一人で観る事に。悔しかったので嫌がらせに部屋のドアを全開にして大音量にしてやったのですが、この音量が意外な効果を生みました(私に)。全身が音に包まれて、凄い臨場感が・・・・

※ビデオは壊れてたしなー・・・。ばあちゃんに八犬伝じゃなくて新選組の録画頼めば良かった。新年早々、早速の後悔でした。
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by shougetu16 | 2006-01-04 16:07 | 私的瑣談(雑記)

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