空知作品のセリフ回しに思う

この前、「三年前くらいまでは新人の読切を読む事はなかった」と書きましたが、絵柄が好みであれば『だんでらいおん』と同じく何となく読む事もありました(ごく偶にだけど)。しかし内容が伴わなければその作品は記憶に留まらない。実際、タイトルも内容も憶えている作品なんて殆どありません。

『だんでらいおん』は何だか強烈だった。ストーリーも特に好みでもないし天使モノなんて結構ありふれた題材で、しかしキャラ達のセリフの応酬が何やら印象に残りました。二作目の『しろくろ』は「ああ『だんでらいおん』の人だ」とノリノリで読む気にになりました。『銀魂』の連載予告が載った時などは「これ絶対単行本集めよう」と読まずして思いました。読んでみればこれも「ああ、これいい」と思いました。(この時はまだネットやってなかったから2ちゃん等での銀魂の評判なんて知らなかったよ)

「面白い」と思ったんじゃなくて、何か「惹かれた」んですよね。

私にはそれぞれの空知作品に「惚れた一言」というのがありまして。“空知節”には、たった一言で読み手をぐっと惹き付けてしまう力があります。中々、頭から離れないんです。ちなみに『だんで』に「惚れた一言」は「近くで見るとけっこうパンチきいた奥さんじゃな」、『しろくろ』は「とみ子ォォォォ!!豆腐ぐらいでなんだァァ!!」


そして、私が『銀魂』に心底惚れる事となった一言は・・・



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「姉上ェ!!まだパンツははいてますか!!」

この一コマでもう完全に銀魂の虜になってましたね。完璧ハマってました。「この空知って人はやっぱりすごい、我が目に狂い無し」とか思ってましたよ。(この時はまだネットやってなかったから2ちゃん等での銀魂の評判なんて知らなかったよ)

狂ってたんですかね(笑)

(でも、こう書いてみると「他人の批評なんて全くアテにならない」というのがよく分かるので、これからもこの主義を崩さず行こうと思います)


視点のズレといいますかなんというか、とにかく「ズラし方」が巧いんですよね。上の「姉上ェ!!まだパンツははいていますか!!」とかもそう。お妙さんが連れていかれたのは遊郭「ノーパンしゃぶしゃぶ天国」、助けに向かった新八がお妙さんの無事を確認する為に発した一言ですね。普通は「御無事ですか」と言うところを、敢て「まだパンツははいていますか」と言う。意味は「御無事ですか」と全く同じであるのに、表現をちょっとズラすだけでもこんなに“(心への)響き”が違う。


婉曲表現とかも魅力ですねぇ。それが特に際立ってるのが下ネタだたりして。


「銀魂はぐだぐだ」とよく言われていますが、それは仕様の無い事。空知氏が以前十二傑賞の審査員をした時のインタビュー(漫魂)でも分かる通り、空知氏はセリフの「整合性・解り易さ」より「リアルさ」にこだわるところがあって、そうするとセリフが長くぐだぐだに成らざるをえないんですよね。リアルの日常会話って恐ろしくぐだぐだだから。全く洗練されていない。でもそれが心地良いんですよね。何だかキャラの体温を感じられるような、人間臭いセリフが。


・・・じゃぁ、空知節は洗練された「洗練されていない言葉」という事?


ん?
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by shougetu16 | 2006-03-08 16:44 | 銀魂談義(その他)

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